五月五日(グングヮチグニチ)
あまがしを食す
旧暦の5月5日(2024年は6月10日)は本土から伝来した行事で別名「菖蒲(しょうぶ)の節供」とも言われています。
菖蒲は古くから蓬(よもぎ)と共に疫病や毒気を払い、万病を避ける薬草と信じられてきました。
本土ではこの日に菖蒲酒を飲み、菖蒲湯に入る習慣があります。
沖縄でもあまがしに菖蒲の葉を添えています。
5月5日の頃はちょうど稲の結実期であり、農民にとって一番重要な時期でもあったので、悪疫が流行らないように菖蒲や蓬などの匂いの強い薬草を門や軒に挿して厄払いとしていました。
「琉球国由来記」の玉城之公事の項にも「あまがしと菖蒲酒をつくり、これをカマド神と祖先の霊前に供えて食した」と記されており、菖蒲やあまがしが邪気払いの意味を持つ神事的な供物であったことがうかがわれます。
男児の祝いに変化
このように昔は5月5日を菖蒲の節供として営んでいたのですが、武家社会に入ってからは菖蒲が「尚武」に通ずるとして、男児の節供に変わっていき、現在に引き継がれています。時代の変化と共に、菖蒲やあまがしの持つ信仰的な要素もその影が薄れ、今ではもっぱら子供の成長を祝う食物として作られているようです。
菖蒲の芳ばしい香りと共に味わうあまがしは、また独特の風味があるものです。